今日ご紹介する文は「伴用糖。」である。
これでは一見なにかわからないが、実はベトナム語である。"Bạn dùng đường."という文なのであるが、すべて漢語系語彙でできている。
Bạnは「伴」で「あなた」という名詞。
dùngは「用」の訛音で「使う」という動詞。
đườngは「糖」で「砂糖」という名詞。
"Bạn dùng đường." で「あなたは砂糖を使う。」という文になる。
大昔のベトナム語は漢字で表記されていたので、それに従うと「伴用糖。」になるというわけであった。
(入門用の例文のため、会話で使わないような不自然な例文であることはご容赦を)
いきなり"Bạn dùng đường."という西洋文字の羅列を見せつけられても頭に入りにくい。しかし後ろに隠れている「伴用糖。」という漢字を見ると、自分にとってはスッと頭に入りやすくなる。
これが漢字文化圏のおもしろさなのだが、なかなかこのおもしろさを分かってくれる人がいない。ベトナムの人に「ベトナム語と日本語には似ている単語がたくさんありますね。ベトナムでも昔は漢字を使っていたのですよね。」といってもポカンとされたことがある。