アジアのお箸

中国語・韓国語・ベトナム語が似ているので同時学習してみるブログ(東アジア漢字文化圏の言語の比較・対照)

【擁護】ということば

今回は【擁護】ということばを見る。各言語で少しニュアンスが異なるかもしれない。

日本語
ようご【擁護】

中国語(普通話
yōnghù【拥护】
 我们拥护这项决定。
 wŏmen yōnghù zhèxiàng juédìng
 (我々はこの決定を支持する。)

韓国語
옹호【擁護】
 외국인 노동자의 권익을 옹호하다.
 (外国人労働者の権益を擁護する。)

ベトナム語
ủng hộ【擁護】
 Tôi ủng hộ phụ nữ.
 (私は女性を支援する。)


日本語で【擁】は通常「ヨウ(ヰヨウ)」と読むが、これは漢音で、それより古い呉音では「オウ(ヲウ)」となる。
現代中国語(普通話)の「yōng」は、日本語の漢音の「ヨウ(ヰヨウ)」に近いと思うが、
韓国語の漢字音「옹」と、ベトナム語の漢字音「ủng」は、日本語の呉音「オウ(ヲウ)」に近いと思う。
このように漢字音が各地にどのように分布しているのかをみるのも面白い。

【発生】をなんというか

またまた同じ例文を再利用します。SDGsです。

日本語
はっせい【発生】

中国語(普通話
fāshēng【发生】
 日本地震频繁发生。
 rìbĕn dìzhèn pínfán fāshēng
 (日本は地震が頻繁に発生する。)

韓国語
발생【発生】
 일본은 지진이 빈번하게 발생한다.
 (日本は地震が頻繁に発生する。)

ベトナム語
phát sinh【発生】

【地震】をなんというか

前回の例文を再利用して、今回は【地震】をご紹介。

日本語
じしん【地震

中国語(普通話
dìzhèn【地震
 日本地震频繁发生。
 rìbĕn dìzhèn pínfán fāshēng
 (日本は地震が頻繁に発生する。)

韓国語
지진【地震
 일본은 지진이 빈번하게 발생한다.
 (日本は地震が頻繁に発生する。)

ベトナム語
địa chấn【地震

【頻繁】をなんというか

前回【頻頻】ということばを取り上げたので、今回は似たもので【頻繁】をご紹介。

日本語
ひんぱん【頻繁】

中国語(普通話
pínfán【频繁】
 日本地震频繁发生。
 rìbĕn dìzhèn pínfán fāshēng
 (日本は地震が頻繁に発生する。)

韓国語
빈번하다【頻繁하다】
 일본은 지진이 빈번하게 발생한다.
 (日本は地震が頻繁に発生する。)

ベトナム語
該当なし


今回の中国語の例文は日本語と語順が全く同じで、そのまま読んでも意味がわかるのがおもしろい。「日本!地震!頻繁!発生!」

韓国語も昔のように漢字ハングル混じり文で書くと実は「日本은 地震이 頻繁하게 発生한다.」となり、もう日本とほぼ同じだ。

日中韓すべて、「主題+主語+副詞+動詞」の語順となっているのだ。
(「主題」についてはまた今度取り上げたい。これもまた重要なテーマだ。)

今回の例文、かなり気に入ったので次回以降も使い回しします。

【頻頻】ということば

「用心棒日月抄」に出てきた気になる言葉、第三弾は【頻頻】。これで最後です。
小説の文を引用する。

 間宮さまの調べがはじまった直後から、ご城下でひんぴんと暗殺が行なわれている。

小説内ではひらがな表記だが、ひんぴん【頻々】ということばが出てきている。「望ましくないことが何度も続けて起こる様子」という意味だそうだ。

中国語にもpínpín【频频】という言葉があるが、こちらは特に「望ましくないこと」に限定はしないようだ。

以下にまとめる。


日本語
ひんぴん【頻々】
 間宮さまの調べがはじまった直後から、ご城下でひんぴんと暗殺が行なわれている。

中国語(普通話
pínpín【频频】
 他最近在电视娱乐节目中频频出镜。
 tā zuìjìn zài diànshì yúlè jiémù zhōng pínpín chūjìng  
 (彼は最近テレビの娯楽番組にしばしば出ている。)

韓国語
該当なし

ベトナム語
該当なし


以上、3回にわたって、時代小説「用心棒日月抄」に出てきた古めかしいことばが、実はアジアの他言語にも存在することをご紹介した。
普通の語学学習に飽きたら、このようなアプローチで日本語と外国語を同時学習するのもおもしろいかもしれない。決して効率はよくないが。

【精悍】ということば

時代小説「用心棒日月抄」に出てきた気になる言葉。第二弾は【精悍】
「用心棒日月抄」の文を引用する。

 瘦せた頬と、ややしゃくれた顎をもち、眼に精悍な光がある。

せいかん【精悍】とは、「行動的で、鋭さが今にも爆発しそうに見える様子」という意味だ。
小説の中では、武士の鋭い目つきを表す場面で使われていた。

調べたところこの言葉は、少しニュアンスは違うようだが、中国語にもある。
下にまとめた。


日本語
せいかん【精悍】
 瘦せた頬と、ややしゃくれた顎をもち、眼に精悍な光がある。

中国語(普通話
jīnghàn【精悍】
 这个青年很精悍。
 zhègè qīngnián hěn jīnghàn
 (この青年は有能で精力的だ。なかなかやり手だ。)

韓国語
該当なし

ベトナム語
該当なし

【世上】ということば

今回からは、先日読んだ時代小説「用心棒日月抄」(藤沢周平 著)に出てきた気になる言葉を取り上げてみる。
江戸時代を舞台にした小説だからか、少し見慣れない言葉が盛り込まれている。

第一回は【世上】。

「用心棒日月抄」の文を引用する。

  むろん浅野の旧家臣全部が、世上にささやかれるように吉良を狙って狂奔しているわけではあるまい。

【世上】という言葉が出てきた。日本語の日常会話では使わないが、日本語に存在する言葉。

実は韓国語を勉強していた当時、세상【世上】という言葉がよく出てきた。「世の中」という意味だ。
そのときは韓国語的な独特な言葉だなあなどと思っていたが、日本語の小説の中にもふと登場してきて、なんだか不思議な気分になった。

調べてみると実は中国語にもある言葉のようだ。

下にまとめてご紹介する。


日本語
せじょう【世上】
 むろん浅野の旧家臣全部が、世上にささやかれるように吉良を狙って狂奔しているわけではあるまい。

中国語(普通話
shìshàng【世上】
 世上无难事,只怕有心人。
 shìshàng wú nán shì zhĭpà yŏuxīnrén
 (世の中に難しいことはなく、ただ心のある人を恐れるだけだ。
  →世の中に難しいことはない。ただ心がけ次第だ。)

韓国語
세상【世上】
 세상에서 마음만 먹으면 못할 일이 없다.
 (決心さえすれば世の中にできないことはない。)

ベトナム語
該当なし


今回は中国のことわざと、それの韓国語訳を例文として取り上げた。