コロナ禍の前に韓国の古本屋で購入した2冊の本がある。囲碁の本だ。この2冊を見比べると、韓国から漢字が消えていく様子が見えてくる。
【1冊目】1964年初版発行の本
圍棋教本 第8輯
實戰
行馬의急所
名譽國手・九段
趙南哲 著
法文社
表紙から漢字だらけだ。唯一ある"의"というハングルは「~の」という意味である。
ページをめくって「はじめに」に当たる部分をみる。ハングルが多いが、漢字も混ざっている。漢字ハングル混じり文というやつである。日本語で、漢字とひらがなを混ぜて書くのと同じ仕組みである。
本文の囲碁の解説も、漢字とハングルが混ざっている。漢字は日本語と同じような単語もあれば、日本語では見慣れないものもある。
【2冊目】1984年初版発行の本
年代がくだると、ぐっと漢字の量が減る。
쉽게 배우자! 빨리 배우자! 재미있게 배우자!
바둑 첫강좌
棋聖・名人
백전백승
조치훈
바둑 강좌 1
완전 초보자用
대현출판사
「はじめに」に当たる部分は、著者の名前の部分が漢字で書かれるのみになっている。(ちなみにこの著者は、1冊目の著者の甥にあたる方で、いま日本のプロの囲碁界で活躍されている)
本文の囲碁の解説でも、ハングルがほとんどである。ところどころに漢字も記載されているが、まずはハングルが書かれ、それを補足するようにカッコで漢字が添えられる程度になっている。
そして21世紀の現代では、韓国では漢字はもうほぼ使われない。
個人的には漢字とハングルを混ぜた文が、非常に味わいがあって好きなのだが───、それももはや過去の遺産である。
韓国の漢字よ、さようなら。