アジアのお箸

中国語・韓国語・ベトナム語・広東語が似ているので同時学習してみるブログ(東アジア漢字文化圏の言語の比較・対照)

【然後】ということば

中国語のテキストで「然后」ということばが出てきて、「その後に」という意味とされていた。

「后」は簡体字で、もともとは「後」ということは知っていた。けれども「然後」でなぜ「その後に」という意味になるのだろう?f:id:jkcv:20220416233827j:image

 

まずはなにげなく中韓辞典を見てみた。

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「然后 연후에」

연후에はひと目、漢字語で【然後에】であることが予想される。中国語由来で韓国語の語彙になっているのだろうなと思う。

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ここでふと、漢文の読み下しで、然後という言葉があるのでは?と感じた。調べるとまさしく、「しかるのちに」と読むことが分かった。

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現代日本語では「然後」という言葉はないが、漢文の世界では「しかるのちに」という読み下しで生きていた。しかも漢和辞典で枠組みコラムの中に特集されているとは!漢文に出てくるということは、「然後」は中国の古典に出てくる、古くからの言葉ということになる。実際に例文もある。ますます面白くなってきた。

 

そしてベトナム語Google翻訳で「然后」をベトナム語に訳しても「然後」の漢字音とは全然ちがうようなベトナム語が出てきてがっかりした。

しかし「然」と「後」のベトナム漢字音を調べて再チャレンジ。ベトナム語辞典で調べるとビンゴ!

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あるじゃないかと膝を打った。nhiên hậu【然後】という漢越語。やっぱり漢字文化圏はつながっているのだなとひとりニンマリ。

色々な辞書を並べてニヤニヤしている姿は、傍から見ると危なっかしいかもしれない。しかし狭い自宅の隅で、古典中国語、現代中国語(普通話)、韓国語、日本での漢文読み下し、ベトナム語がつながったのだ。これこそが多言語同時学習だなと悦に入る。