アジアのお箸

中国語・韓国語・ベトナム語・広東語が似ているので同時学習してみるブログ(東アジア漢字文化圏の言語の比較・対照)

【情報】ということばの、日中韓越での意味の同異とその経緯について考える

【情報】は日中韓越に存在することばだ。しかしニュアンスは必ずしも同じではない。

 

日本語
 じょうほう【情報】

中国語(普通話
 qíngbào【情报】
  我没有你需要的情报。
  wǒ méiyǒu nǐ xūyào de qíngbào   
  (ぼくはあなたに提供するような情報なんか持っていない。)

韓国語
 정보【情報】
  아날로그 정보를 디지털화하다.
  (アナログ情報をデジタル化する。)

ベトナム語
 tình báo【情報】
  tình báo công nghiệp
  (工業スパイ)

 


日韓では一般的なinformationという意味だが、中越ではどちらかというと「秘密情報・諜報」(intelligence)というような意味合いがあるようだ。
実は日本語でもかつてはintelligenceという意味で使われることが多かったようだ。下記のwikipediaが分かりやすい。

情報 - Wikipedia

 


ここからは私の勝手な憶測。
1. まず日本語でフランス語の訳語として【情報】という和製漢語が生まれ、主にintelligenceの意味で用いられた。
2. その和製漢語がやがて中韓越に輸出され、現地の漢字音で読まれ、現地語として受け入れられた。
3. ところが日本語ではintelligenceからinformationに意味が変化していった。

4. 日本の影響が強く及んだ朝鮮半島では日本語と同じようにintelligenceからinformationの意味に変化していった。
5. しかし日本の影響が及ばなかった中国とベトナムでは元々のintelligenceの意味として現在まで使われ続けている。
───状況からみて、おそらくこういう流れだろうと勝手に想像している。間違いがありましたらご指摘ください。

 

こういう風に、ことばの地理的な分布と歴史的な変化をからめて見るのが好きだ!! 本当はサラリーマンになるのではなく、こういうことを研究する道に進みたかったなぁ・・・。