アジアのお箸

中国語・韓国語・ベトナム語・広東語が似ているので同時学習してみるブログ(東アジア漢字文化圏の言語の比較・対照)

【積極】と【積極的に】

【積極】という漢字2文字ことばは、中韓越では「積極的に」という副詞のような意味で用いられる。日本語にはこの用法はないと思う。

日本語
 せっきょくてきに【積極的に】

中国語(普通話
 jījí【积极】
  我积极赞成你的意见。
  wŏ jījí zànchéng nĭ de yìjiàn
  (私はあなたの意見に積極的に賛成する。)

韓国語
 적극【積極】
 적극적으로【積極的으로】
  나도 너의 의견에 적극 찬성해.  
  (私も君の意見に積極的に賛成する。)
  적극적으로 행동하다
  (積極的に行動する)

ベトナム語
 tích cực【積極】
  nghĩ tích cực
  (積極的に考える)

上の例文のように日本語以外の言語では、【積極】という漢字2文字分のことばで、副詞のように「積極的に」という意味がある。特に韓国語においては、少し珍しい漢語系語彙の使われ方のような気がする。もう少し日本語の直訳っぽく적극적으로【積極的으로】という言い方もある。こちらの方が日本人の私には親しみやすい。
漢和辞典三省堂 全訳漢字海)によると、【積極】ということばは日本生まれで、英語positiveの訳語とのこと。和製漢語の【積極】が中韓越に輸出されたのだろうが、中韓越ではなぜか【積極】ということばのみで「積極的な」という副詞的な意味になっている。和製漢語なのに、日と中韓越で使われ方が異なっているのには、どういう経緯があるのだろう。不思議に感じる。