アジアのお箸

中国語・韓国語・ベトナム語・広東語が似ているので同時学習してみるブログ(東アジア漢字文化圏の言語の比較・対照)

【滅亡】ということば

【滅亡】ということばは日中韓越に存在するのでご紹介。


日本語
 メツ(呉音) ボウ(バウ)(漢音)【滅亡】


中国語(普通話
 mièwáng【灭亡】
  秦始皇灭亡六国完成一统。
  qínshǐhuáng mièwáng liù guó wánchéng yìtǒng
  (秦の始皇帝が六国を滅亡させ国家統一を完成させた。)


韓国語
 멸망【滅亡】
  진시황이 여섯 나라를 멸망시키고 천하를 통일하였다.
  (秦の始皇帝が六国を滅亡させ天下を統一した。)


ベトナム語
 diệt vong【滅亡】



【滅】のベトナム漢字音について。


無理矢理アルファベットで書くと"ziat"みたいな音である。【滅】の"m-"がなぜ"z-"の音に変わっているのか。以前に【面】のベトナム漢字音でも同じことを疑問に感じた(無理矢理アルファベットで書くと"zian"みたいな音になる)。


このことについて、先日読んだ「唐代の人は漢詩をどう詠んだか (大島正二 著)」にヒントが書かれていた。


(pp.139-140)
古代中国語の唇音は、ベトナム漢字音では四等(甲類)の場合にかぎって舌音化した(唇音が舌音に変化した。pi>ti)。iの前のpがtに変わるという一種の口蓋化(口蓋=上あご)。前舌が上あごに近づくことを口蓋化という。口蓋化されたpなどの唇音声母は、唇を閉じるのと同時に舌の先が前歯の裏または歯ぐきにつき、tなどの舌音声母に変化しやすい。


ここではpi>tiの変化が書かれているが、mi>ziの変化も同じ原理なのだろう。なるほどmiの音が口蓋化して舌の先が上あごにつくようになってziに変わったといわれると納得がいく。おもしろい!勉強してよかった!


こうして漢字音オタクになりつつある。。。


↓「唐代の人は漢詩をどう詠んだか (大島正二 著)」についてはこちら
jkcv.hatenablog.com