アジアのお箸

中国語・韓国語・ベトナム語・広東語が似ているので同時学習してみるブログ(東アジア漢字文化圏の言語の比較・対照)

【圧縮】ということば(+日本漢字音での-p入声の促音化について)

【圧縮】ということばは、日中韓で共通しているのでご紹介。
中国語の例文は、NHKラジオ「まいにち中国語」から拝借しました。時間圧縮装置って何!?

 

日本語
 アッシュク【圧縮】

 

中国語(普通話
 yāsuō【压缩】
  没想到你竟然这么笨。要不试试时间压缩装置?
  méi xiǎngdào nǐ jìngrán zhème bèn. yàobù shìshi shíjiān yāsuō zhuāngzhì 
  (あんた、意外と不器用だね。時間圧縮装置使ってみようか。)

 

韓国語
 압축【壓縮】
  압축된 파일을 해동하다.
  (圧縮されたファイルを解凍する。)

 

ベトナム語
 該当なし

 

【圧】という字はあくまで日本の漢字。簡体字では点がついて【压】、繁体字正字)では【壓】というイカツイ字なので、違いに注意。

 

また【圧】という漢字の音について。
これは韓国漢字音の압(ap)が昔の中国の漢字音に近い。
今回の例では挙げなかったが、ベトナム漢字音ではápとなり、韓国漢字音に似ている。
現代中国語(普通話)では語末の入声音(-p)が削ぎ落されている。
【圧】に関しては日本漢字音が一番ややこしい。歴史的仮名遣いでは「アフ」となる。昔の日本語では「ハ」行は「pa pi pu pe po」と読まれていたことが判明しているので、「アフ」と書いて「apu」と読まれていたことになる。これで韓国漢字音の압(ap)に近くなる。ところがやがて「アフ」から「アツ」に促音化して、現代日本語では「アツ」と読むようになった。-p入声音は日本漢字音ではしばしば促音化して-tsuという音に変化したのである。他の例では、【雑】のzap>zatsuや、【立】のlip>ritsuなどがある。