マレーシアの華人向けの中国語のFMラジオが好きで、中国語は聞き取れないけれどもよく聞き流している。ところで最近、毎日のように同じ曲が流れてくる。「マレーシア・マダニ!」という独特なフレーズが耳に残る。
気になって調べてみた。日本語の情報がみあたらず、英語に頼るしかない。
そもそも「マレーシア・マダニ」とは、今のマレーシア政府のスローガンらしい。てっきり「マダニ」とはマレー語かと思ったがそうではなくて、6つの単語から取った造語のようだ。
MADANI is the acronym for the core values: keMampanan (Sustainability), kesejAhteraan (Prosperity), Daya cipta (Innovation), hormAt (Respect), keyakiNan (Trust) and Ihsan (Compassion)
しかし気になるのがこの曲だ。マレーシアのポップロックバンド「bunkface」がオフィシャルソングとして歌っているとのこと。
https://www.nst.com.my/news/nation/2023/03/890688/malaysia-madani-official-song-launchedwww.nst.com.my
そしてそのロックバンドのライブ映像を見ると、聴衆はマレーシア国旗を手に曲に聞き入っている。
bunkfaceのofficial lyric videoのコメント欄は、「マダニ」を称賛するコメントであふれかえっている。
・・・なんというか、少し背筋がヒヤッとするものがある。
無理矢理日本にたとえてみる。例えば「アベノミクス」や「異次元の少子化対策」といった総理大臣が打ち出したスローガンを、人気アーティストが公式テーマソングにして歌っていて、それが毎日ラジオで流れてくるようなものだ。
うーん。なんだか独裁国家の洗脳みたいで少し気持ち悪い。
といってもこれは日本に住んでいて感じただけのことなので、現地の人々はまた違った価値観で動いているのかもしれない。それはなんともわからない。
なお、国境なき記者団による「報道自由度ランキング」では、世界180か国のうち、マレーシアは113位。そんなに高くはない。(ちなみに日本は71位。これも微妙)
マレーシアは旅行で行ったときはとても魅力的な国に感じたが、実は旅行では見えない難しい問題が潜んでいるのかもしれない。これからは私の好きなマレーシアのFMラジオを聞いていて、毎日この曲が流れてくるたびに、なんとも複雑な気持ちになりそうだ。