アジアのお箸

中国語・韓国語・ベトナム語・広東語が似ているので同時学習してみるブログ(東アジア漢字文化圏の言語の比較・対照)

【希望】ということば

【希望】ということばは日中韓越に存在する。中越では名詞と動詞の両方として使われる。日韓では【希望】単独では名詞であり、動詞にするには語尾をつけないといけない。

日本語
 きぼう【希望】
 きぼうする【希望する】

中国語(普通話
 xīwàng【希望】
  你的希望一定能实现。
  nǐ de xīwàng yídìng néng shíxiàn
  (あなたの望みはきっとかなうでしょう。)
  我不希望他来。
  wǒ bù xīwàng tā lái  
  (わたしは彼に来てほしくない。)

韓国語
 희망【希望】
 희망하다【希望하다】
  그가 아직 살아 있을 희망은 거의 없다.
  (彼がまだ生きている望みはほとんどない。)
  사무직보다 영업직을 희망합니다.
  (事務職より営業職を希望します。)

ベトナム語
 hy vọng【希望】
  Tôi hy vọng bạn thắng.
  (私はあなたが勝つことを望みます。)
  cho ai hy vọng
  (誰かに希望を持たせる)

【希】という漢字の読み方について考えてみる。昔の中国語ではhioiと読むと考えられている。韓国語の희とベトナム語hyはそれにかなり近く、古い音をよく保存している。
一方で日本語は"き"となっているが、中国語が日本語に入ってきたときに日本語にはハ行の音がなかったので、カ行で代用したといわれている。ハ行もカ行も喉のあたりを使って音を出すから近い音だと当時の日本人は考えたのだろう。
そして現代中国語ではxīとなり、舌の前の方を使って音を出す子音に変化している。現代中国語ではこういう変化がよくあるように感じる。例えば【家】や【加】という漢字は、日本漢字音や韓国語漢字音では「ka」となりおそらくこれが古い中国語音に近いのだが、現代中国語では「jia」と舌のやや前の方を使う音に変化している。