アジアのお箸

中国語・韓国語・ベトナム語・広東語が似ているので同時学習してみるブログ(東アジア漢字文化圏の言語の比較・対照)

中国語のhとベトナム語のkhが発音できなくて困っている

ベトナム語の学習をゆるやかに再開しようと思った。まずは発音でつまづいているので、徹底的にやり直そうとした。

 

非常に基本的な単語で、không、というものがある。英語でいうところのnotのような意味なのだが、これの発音が非常に難しい。語頭の子音のkh-は「カ行を発音しながら喉を鳴らすように」とテキストにある。これでは意味がわからない。がむしゃらにやってみる、「グガガガガ・・・」なんだか喉の奥が痛くなってきた。

 

もう少し正確にみていきたい。こういう時に役に立つのが「音声学」だ。

 

無声軟口蓋摩擦音

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E7%84%A1%E5%A3%B0%E8%BB%9F%E5%8F%A3%E8%93%8B%E6%91%A9%E6%93%A6%E9%9F%B3

 

舌の後ろのほうを、のどちんこのあたりに当てつつ、完全には当てずに息が抜けるように摩擦させていく──。うん。理屈ではわかる。でもなかなかできない。

 

私の妻はドイツ語ができる。尋ねてみたところ、ドイツ語にもこの子音があるらしい。妻に発音してもらう。なるほど。そして私も妻の前で発音してみる。妙にこわばりながら「ハァァ・・・」。できた?どうやらOKらしい。次に、この音の後ろに母音「オ」をつけて発音してみる。「・・・コホホホォォォッッーー!!」。さあどうだ。満を持して妻に聞いてみる。しかしドイツ語ではこの子音の後ろに母音はこないからよくわからないといわれてしまう。

 

もう一度、wikipediaをみてみる。中国語のhも実はこの音らしい。そういえば中国語を学んだとき、中国語のhは日本語のハ行とは少し違うと教わった記憶がよみがえってくる。そうか。今まで中国語で、hen3hao3【很好】などと発音するとき、hの音を普通に間違って発音していたことに気づく。

 

そういえば、中国語でh-の音の漢字が、日本語ではカ行に転写される。大昔の頭のいい日本人が中国に留学に行って、現地の音声を非常に正確に聞いていた証だと思う。日本語のカ行は音声学では「無声軟口蓋破裂音」であり、かなり近い音である。日本語には中国語のh-の音がないので、苦肉の策で、似た音であるカ行に転写したのだろう。

体系だった音声学もなかったであろう当時に、ここまで的確に音を研究できたのは、本当に頭がよく、言語に対する感性がないとできないことだと思う。そんな当時の日本人の方々も、「ハーー」とか「コホオーー」とか練習していたのだろうか。