アジアのお箸

中国語・韓国語・ベトナム語・広東語が似ているので同時学習してみるブログ(東アジア漢字文化圏の言語の比較・対照)

【参観】ということば

今回は【参観】をみる。

日本語
さんかん【参観】

中国語(普通話
can1guan1【参观】
 我们星期四下午会参观历史博物馆。(私たちは木曜日の午後に歴史博物館を見学する。)

韓国語
참관【参観】
 총괄 지휘하는 사령탑들도 훈련을 참관할 예정이다.(総括指揮する指令塔も演習を視察する予定だ。)

ベトナム語
tham quan【参観】
 tham quan nhà máy điện tử (コンピューター工場を見学する)

韓国語とベトナム語は【参】という漢字の古い読み方(語末が-m)を保存している。日本語と中国語は-m>-nと変化している。ただし日本語でも旧仮名遣いでは「さむ」と表記するので、かつては-mの痕跡を保存していた。

中国語では消滅した古い形が、周辺言語には化石として残っている例である(いわゆる「方言周圏論」ですね)。中国語の古い形を再構するときには、日韓越の漢字音を調べるのだという。

また日本語での「参観」は、日常生活では「授業参観」くらいしか使わず、中韓越と用法が少しずれているようにも感じる。ただし、「皇居一般参観」という言葉もあるので、完全にずれているというわけではない。ずれているというより、使用する場面が限定的になっているというほうが正確だろうか。