日中韓越を眺めていて、あることに気がづいた。
日本語では、あお【青】という単語に、「青」と「緑」の意味がある。
「青空」・・・実際は青色。
「青い山」・・・実際は緑色。
中国語(普通話)では、qīng【青】という単語に、「青」と「緑」の意味がある。
qīngtiān【青天】・・・青い空。
qīngjiāo【青椒】・・・ピーマン。緑色をしている。(チンジャオロースのチンジャオ)
韓国語では、파랗다という単語に、「青」と「緑」の意味がある。
파란 하늘・・・青い空。
파란불・・・青信号。実際は緑色。
ベトナム語ではxanhという単語に、「青」と「緑」の意味がある。
xanh da trời・・・(空のような)青。
xanh lá cây・・・(木の葉のような)緑。
もしかして日本の周辺のアジア圏では、青色と緑色は混同されるのか───?
そんな疑問に答えてくれる、下記のURLをみつけた。
こちらはとても明快な解説である。
緑色なのに「青信号」と呼ぶのはなぜ? - 大学教授に聞いてみた | TECH+(テックプラス)
引用させていただくと、日本語ではかつて「青」と「緑」をまとめて「青」と呼んでいたが、やがてそれが「青」と「緑」に分かれたらしい。
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- 引用ここから---
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まず、日本語の古来の色名は「赤、青、黒、白(いずれも、「~い」という表現ができる)」の4色と言われています。この「青」には現在の「青」と「緑」の両方が含まれています。
(中略)
古代の日本では、冒頭に記した「赤、青、黒、白」の中で、「赤」と有彩色を2分するもうひとつの色名として、現在の青と緑の色カテゴリーをまとめた呼称の「青」が共通認識の得られる色名だったと思われます。その後、言語が成熟するにつれて詳細な区分に関するコンセンサスが成立し、古語の「青(あを)」から現代の「緑」と「青」に分化したと思われます。
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- 引用ここまで---
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また、これは日本語だけの現象ではなく、英語など他の言語でもみられるらしい。
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- 引用ここから---
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この「緑と青の分化」は、他の言語でも成熟の過程で見られる現象で、例えば英語では13世紀頃までは” hœwen”という語が青と緑の両方を指しており、その後greenとblue (“bleu”)に分かれた事が知られています(Biggam, 1997)。
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- 引用ここまで---
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というわけで、残念ながら大発見ではなく、すでに研究されていることだった。
しかし英語と違って、日中韓越の各言語では現在でも、
ひとつの単語で青と緑の両方を意味することがあるということは覚えておいてもよいのかもしれない。
こういう風に複数の言語を対照してみるのは興味深い。