アジアのお箸

中国語・韓国語・ベトナム語・広東語が似ているので同時学習してみるブログ(東アジア漢字文化圏の言語の比較・対照)

広東語の勉強をはじめました。漢字文化圏の理解を深めるのに役立つ。

広東語(広東話)の勉強をはじめてしまった。以前から中国南方の言語もやってみたいとは思っていた。Duolingoで細々とはやっていたが、それっぽく本格的に辞書とテキストをそろえてみた。

最初はとっつきにくいが、やりはじめてみると、かなりおもしろい。文法は普通話とだいたい同じ。語彙は普通話と共通するものが多い。声調は6つで難しいが、ベトナム語の声調とくらべると、広東語の方がのっぺりしていてまだ少しやさしそう。母音や子音の発音も、ベトナム語のような日本語離れしたトリッキーな感じは少ない。普通話を学んだことがある身からすると、ベトナム語より広東語の方が自分にとって近い言語のように感じる。まあ当たり前か。どことなく普通話と似たような、でも絶妙に違うような、パラレルワールドに迷い込んだような感じがして非常におもしろい。


広東語(広東話)を、中国語の方言とみるか、中国語とは別の言語とみるかは人によって異なる。そもそも「言語」と「方言」は人為的に決められるものなので・・・。
世の中には割と似たことばだが別々の「言語」とされるものもある。例えばドイツ語とオランダ語ヒンディー語ウルドゥー語タイ語ラオス語、マレーシア語とインドネシア語
一方で、相互理解不能なのに「方言」とされるものもある。標準日本語と津軽弁や沖縄弁はお互いに通じないのに別言語ではなく「方言」となっている。中国大陸の人からすると、広東語はあくまで中国語の方言であり、"広東「語」"ではなく"広東「話」"とされている。


広東語のような中国南部の言語に触れるのは、漢字文化圏についての理解を深めるのにいいのでは? と思っている。例えば「入声(にっしょう)」について。これは-p,-t,-kで終わる音のことをいう。例として【麦(麥)】という漢字の音について調べてみよう。

【麦(麥)】
中国語(普通話) mài
広東語(広東話) mak6
日本語 バク (baku)
韓国語 맥 (mek)
ベトナム語 mạch (mak)

中国語(普通話)以外ではお尻に-kの音がついている(日本語では-kuに変化しているが)。これは昔の中国での発音(中古音)のなごりである。

中国語(普通話)でマクドナルドのことを【麦当劳】(mài dāng láo / マイタンラオ)というが、なぜこれがマクドナルドなのか分かりにくい。しかし広東語(広東話)では【麥當勞】(mak6 dong1 lou4 / マクトンロウ)となり、【麦(麥)】(mak / マク)の音でMcdonaldの"Mc"を表していることがわかる。
そしてこの-kの音は日本語・韓国語・ベトナム語の音にも存在している。中国語(普通話)では消滅した-kの音が、周辺地域には残っているのだ。
このように漢字文化圏のつながりを発見していくのがおもしろい。今までは日中韓越の4言語のつながりをみていたが、その中に広東語も加えるとさらにおもしろいことになりそうだ。