アジアのお箸

中国語・韓国語・ベトナム語・広東語が似ているので同時学習してみるブログ(東アジア漢字文化圏の言語の比較・対照)

【人間】ということば

【人間】ということばは日中韓越に存在するが、意味やニュアンスが異なる。


日本語
 ニン(呉音) ケン(呉音)【人間】※ケン>ゲンと濁っている
 ジン(漢音) カン(漢音)【人間】※カン>ガンと濁っている
  人間(ジンガン)に流布する。(世の中に広まる、という意味)


中国語(普通話
 rénjiān【人间】※この世、人間の住む世界、という意味
  人间天堂
  rénjiān tiāntáng
  (この世の天国、地上の楽園)


韓国語
 인간【人間】※人を軽蔑的に言う語でもあるので、他人に対して使わないように注意
  인간의 신체는 세포라고 하는 기본 단위로 구성되어 있다.
  (人間の身体は、細胞という基本単位から構成されている。)
  못된 인간
  (駄目なやつ)


ベトナム語
 nhân gian【人間】※この世、人間の住む世界、という意味
  Ở một góc nhân gian
  (この世界の片隅に)※日本映画タイトルのベトナム語


漢和辞典をみると、【人間】の元の意味は「人の世、世間」とある。中越ではこの意味で用いられている。日本語でも一応辞書では「人間(じんがん)に流布する(世の中に広まる)」という文が載っていたが、ほとんど用いられることはないだろう。
漢和辞典によると【人間】のもう一つの意味の「ひと、人類」は日本語独特の用法らしい。韓でもこの意味で使われているので、韓国語で日本語の影響を受けてこのように使われるようになったのだと思う。
しかし韓では인간【人間】は他人に対して使うと悪い意味(~な奴)になるので使ってはならないと、なにかで読んだことがある。
・・・このように一見同じ漢語系語彙であっても、このように意味やニュアンスが異なるので、注意しなければならない。特に悪い意味になってしまう場合はなおさらである。当ブログの趣旨は日中韓越に共通する漢語系語彙を活用して多言語同時学習をしよう!ということなのだが、そもそもそれぞれの言語によって語彙のニュアンスが違うので、このブログの存在意義そのものがどうなのか、という話になってしまう・・・。