アジアのお箸

中国語・韓国語・ベトナム語・広東語が似ているので同時学習してみるブログ(東アジア漢字文化圏の言語の比較・対照)

【奇妙】ということば

前々回、【妙】という漢字には大きく2つの意味があることをみた。1つ目は肯定的なニュアンスで「良い、絶妙だ」という意味。2つ目はやや否定的なニュアンスで「普通と違って変だ、奇妙だ」という意味。


そして前回、上の1つ目の意味の説明で使った【絶妙】は、日中韓越すべてでまさしく肯定的なニュアンスのことばであることをみた。


今回は2つ目の意味の説明で使った【奇妙】ということばをみる。少し様子が異なる。


日本語
 キ(呉音・漢音) ミョウ(メウ)(呉音)【奇妙】
  世にも奇妙な物語 ※2つ目の用法


中国語(普通話
 qímiào【奇妙】
  中国杂技团演出了许多奇妙的节目。
  zhōngguó zájìtuán yǎnchū le xǔduō qímiào de jiémù  
  (中国雑技団はたくさんの巧妙奇抜な演技をやって見せた)※1つ目の用法


韓国語
 기묘하다【奇妙하다】
  기묘하게 보이는 물체
  (奇妙に見える物体)※2つ目の用法


ベトナム語
 kì diệu【奇妙】
  một sự kỳ diệu của lịch sử
  (歴史の奇跡)※1つ目の用法


【奇妙】ということばだが、日韓では2つ目の意味(やや否定的)で用いられている。一方で中越では1つ目の意味(肯定的)で用いられている。【妙】という漢字の意味が日韓と中越でズレているが、【妙】を使った熟語でも同じように意味がズレていることがあることに気づけた。


それにしても当ブログで今まで色々な漢語系語彙をみてきたが、どうも日韓グループと中越グループという区別ができるケースがしばしば見受けられる。日本は朝鮮半島に大きな影響を及ぼし、中国はベトナムに大きな影響を及ぼしたことを示しているのだと思う。