【妙】という漢字には大きく2つの意味がある。1つ目は肯定的なニュアンスで「良い、絶妙だ」という意味。2つ目はやや否定的なニュアンスで「普通と違って変だ、奇妙だ」という意味。2つ目の意味は手持ちの漢和辞典によると、中国語本来の意味からずれた日本語独特の用法だそうだ。
日中韓越で【妙】という漢字1文字でどういう意味を表すかを調べてみた。中越では1つ目の意味(良い、絶妙だ)でしか用いられていなかった。一方で日韓では1つ目の意味(良い、絶妙だ)と2つ目の意味(普通と違って変だ、奇妙だ)の両方で用いられていて、特に2つ目の方でよく使われることが分かった。これはおそらく日本語独特の2つ目の用法が韓国語に移ったのだと思う。歴史的に韓国語は日本語から大きく影響を受けている。
日本語
ミョウ(メウ)(呉音)【妙だ】
夜中に妙な音がする。※2つ目の用法
言いえて妙だ。※1つ目の用法
中国語(普通話)
miào【妙】
妙不可言。
miào bù kě yán
(そのすばらしさは言葉では言い表せないほどである。)※1つ目の用法
韓国語
묘하다【妙하다】
그 묘한 심리는 도저히 이해할 수 없다.
(その妙な心理は到底理解できない。)※2つ目の用法
묘한 말재주
(絶妙な話術)※1つ目の用法
ベトナム語
diệu【妙】
Ý nghĩa của em diệu quá.
(お前の考えはすばらしい。)※1つ目の用法
「妙」シリーズ、次回につづく。