アジアのお箸

中国語・韓国語・ベトナム語・広東語が似ているので同時学習してみるブログ(東アジア漢字文化圏の言語の比較・対照)

ベトナム語のcũはベトナム固有語かそれとも漢語系語彙の【古】か?

ベトナム語を学んでいると、漢語系語彙かと思えることばによく出会うが、調べてみると漢語系語彙とはされていないものがしばしば出てくる。


今回出会ったのは「古い」という意味のcũ(ク)。てっきり【古】かと思ったがそうではない。【古】のベトナム漢字音はcổ(コ)で、Âm Nôm(ベトナム漢字音の親戚のようなもの)でもcổ(コ), kẻ(ケ)しか出てこない。


それでも、現代中国語諸方言をみると、北京方言ではgǔ、粤方言ではgu、呉方言ではku、閩方言ではkooとなるらしい。韓国語では고(コ)、日本呉音と日本漢音ではコとなる。cũ(ク)と【古】は結びつくのかつかないのか。


これは偶然の一致かもしれない。日本語の「斬る(キル)」と英語の「kill(キル)」がそっくりだから日本語と英語の祖語は一緒だ、という笑い話のような例がある。たまたま2言語の単語が似ることはある。


もしくは本当に大昔に中国(の一地方の方言)がベトナム語流入したのかもしれない。しかしそれを証明することは非常に難しいのだろう。こうなってくると本当に推測の世界になってしまうしかない。沼だ。