アジアのお箸

中国語・韓国語・ベトナム語・広東語が似ているので同時学習してみるブログ(東アジア漢字文化圏の言語の比較・対照)

タイで出会った、「アジアのお箸」

今週のお題「行きたい国・行った国」

はてなブログには「今週のお題」というものがあるらしい。「行きたい国・行った国」が今回のテーマになっており、目に留まった。ちょうど当ブログにつながる内容なので、「今週のお題」にのっかかって投稿してみる。

私がはじめて行った国はタイである。少し珍しいが、修学旅行の行き先であった。

外国は日本とは全く違う異世界だと思っていた。そんな異世界にわざわざ行ってなんになるんだろう、とも思っていた。そんな10代の少年が、いきなり修学旅行でタイに連れていかれたのであった。

タイの空港に着いて外に出た。上を見ると、ぼんやりと白い雲がうかんだ青い空が広がっていた。外国は特別なところだと思っていた少年だったが、空は日本で見る普通の空と同じだった。なんだ、外国って言ったって同じ地球の上じゃないか───。

バンコクを観光し、地方都市へ移動した。そこでローカルの学校を訪問するという旅程だった。その学校の生徒とはお互いにたどたどしい英語でしゃべった。タイ風の英語の発音が聞き取りにくかった。

学校でお昼ご飯をご馳走になった。なんだかよくわからない麺料理だった。そしてテーブルには、お箸が出されていた。──あれ、お箸?お箸って日本文化じゃないの?なんでここにお箸があるの?

たどたどしい英語でそこの生徒に尋ねた。「あなたたちってお箸を使っているの?」「うん」

このとき、いきなりタイと日本がつながった。はるばる飛行機で6時間もかかったタイ。縁もゆかりもない、よくわからない国。しかしそこは日本と同じ「お箸」という文化でつながっていた。お箸が日本独自の文化だと、ひどい思い違いをしていた。お箸とは中国の起源で、東は日本へ、南はタイへ伝わり、それぞれの地で思い思いに使われている。タイと日本は、距離的には離れていても、似たような文化でたしかにつながっているのだ。

外国は、日本とは違う別世界ではなくて、文化的に連綿とつながっている───。何も知らなかった10代の少年にとってはあまりにも新鮮な「発見」だった。

それから私はアジア圏の文化的なつながりに興味を持つようになった。当ブログでは、漢語系語彙という、日本語・中国語・韓国語・ベトナム語に共通する「ことば」を取り上げている。タイで出会った「お箸」からはじまり、今はアジア圏の「ことば」のつながりに夢中になっている。タイには申し訳ないが、タイ語は勉強していない。はじめて行ったタイという国での衝撃的な思い出を忘れないためにも、ブログのタイトルは「アジアのお箸」としている。