アジアのお箸

中国語・韓国語・ベトナム語・広東語が似ているので同時学習してみるブログ(東アジア漢字文化圏の言語の比較・対照)

【雖】【雖然】ということば

ベトナム語を細々と学んでいると、突然、漢文チックな接続詞が出てくる。【雖】や【雖然】ということばである。

漢文
 【雖】※「いえども」という意味
   雖殺我、不能絶也。
   (たとえ私を殺したとしても、中断させることはできないであろう。)

日本語
 いえども【雖も】
 しかりといえども【然りと雖も】

中国語(普通話
 suī【虽】
  事情虽小,意义却很大。
  shìqíng suī xiǎo yìyì què hěn dà
  (事柄は小さいが、意義はたいへん大きい。)
 suīrán【虽然】
  虽然很短,但是很有趣。
  suīrán hěn duǎn dànshì hěn yǒuqù
   (短いけれども、面白い。)

韓国語
 수연이나【雖然이나】
  ※現代では使わないが、朝鮮半島の漢文には出てくるようだ。
"雖然이나" : 네이버 통합검색search.naver.com

ベトナム語
 tuy【雖】
  Tuy cô ấy thích cái váy nhưng cô ấy không mua nó.
  (彼女はスカートが好きだが、彼女はそれを買わない。)
 tuy nhiên【雖然】
  Anh ta là người ít nói, tuy nhiên biết nhiều điều.
  (彼は無口だが、物事をよくわきまえている。)

まずは中国語をみよう。suī【虽】は書き言葉のようなので飛ばして、話し言葉のsuīrán【虽然】という単語は中国語を学んでいるとよく出てくる単語である。今まで何もわからずに丸暗記するしかないと思っていた。しかし【虽】は繁体字で【雖】となることに注目。さらに、suīrán【虽然(雖然)】が実は日本語の漢文読み下しチックな表現である"しかりといえども【然りと雖も】"と同じ意味であると気付けると、suīrán【虽然(雖然)】という中国語が一気に覚えやすくなる。
次にベトナム語を学んでいるとtuy【雖】という単語が出てくるが、ローマ字のtuyだけを丸暗記しようとするとなかなか骨がおれる。そうではなくて、日本語の漢文読み下しチックな表現である"いえども【雖も】"と同じだと関連付けることができると、ベトナム語tuy【雖】が急に身近に感じられる。tuy nhiên【雖然】も同様。

このように日中韓越の言語を結び付けて、さらには昔の漢文まで引っ張り出して、言葉のつながりを感じ取りながら学習できるとおもしろい。え?学習効率がめちゃくちゃ悪い?───はい、こんな古風な理屈をこねくり回さずに素直に丸暗記したほうがずっと早いかもしれませんね。。。

ベトナム語の例文にはもうひとつ、漢文っぽい接続詞があります。明日ご紹介。