前回、インコタームズにない貿易条件であるex go downをお話しした。今回は別のものをご紹介する。
FOT(Free On Truck)──日本語でいうところの「車上渡し」だ。売り主が製品をトラックに載せて指定場所まで配送するが、トラックからの荷降ろしは買い主がやってね、というものだ。これは貿易条件というより、もっと細かな受渡し条件とでもいうのだろうか。
昔、中国の工場で作った製品をマレーシアの内陸まで持っていくという案件があった。貿易条件はDDPであった。中国からマレーシアの内陸への配送まですべて売り主がやってね、という内容だ。ただここでちょっとした問題が起きる。
売り主と買い主は配送先での受渡しはFOT(Free On Truck)であった。しかし配送先には、フォークリフトなどの荷降ろし設備がないという。仕方なく関係者に相談の上、クレーン付きトラックを用意して配送先での荷降ろしまで売り主負担でおこなった。
──ところで今ネットで調べていると、FOT(Free On Truck)は売り主が、指定のトラックに製品を載せたらそこで終わり(配送は買い主がする)、という解説もあった。同じ用語でも解釈が複数あるということか。ここが貿易で揉めやすいポイントのひとつであり、実務をする際には個別にきちんと確認しておかないといけないと思う。
FOR(Free On Rail)は私は実務経験はないのであるが、貨物列車の車上での受渡しだそうだ。大陸では国際貨物の鉄道輸送も発達している。
まだまだ次回に続く。
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