しばらく外国語学習からは遠ざかり、読書に明け暮れた。語学・言語学ばかりやっていても、自分の視野が狭くなるので、結果としては良かった。特に良かった作品は、藤沢周平の「用心棒日月抄」という江戸時代を舞台にした小説であった。ひいきにしているYoutuberが薦めており、書を開くと非常に読ませる内容だった。時代小説なぞ興味を持ったこともなかったが、ずんずんと引き込まれてしまった。著者の才能を感じた。
(再掲) 【ドイツ】を何というか
(本記事は2018/10/6の投稿の再掲載です)
国名シリーズ第8弾はドイツです。
日本語
ドイツ(Deutschland)
どいつ【独逸】
中国語(普通話)
Déguó【德国】
韓国語
독일【獨逸】
Đức【徳】
大きく分けて、日本式の【独逸】と中国式の【徳意志】のふた通りの当て字があります。日韓では日本式、中越では中国式が用いられています(中越では【徳意志】の頭の【徳】を取っています。)。日本語が韓国語に入り込み、中国語がベトナム語に入り込んだというところに、かつての国家間のパワーバランスが映し出されているように思えます。
日本語では【独逸どいつ】はもはや堅苦しく、今ではカタカナで【ドイツ】と書きますが、韓国語では도이쓰や도이츠などと書かず、【獨逸독일】が現役で使われているのも興味深いです。
(再掲) 【フランス】を何というか
(本記事は2018/10/6の投稿の再掲載です)
国名シリーズ第7弾、おフランスです。
日本語
フランス(France)
ふっこく【仏国】
中国語(普通話)
Fǎguó【法国】
韓国語
프랑스(France)
Pháp【法】
日韓では英語の【France】の音を借用して言うのが一般的なようです。
日本語では堅い表現では【仏国ふっこく】もあり、【仏蘭西】という当て字から来ています。
韓国語については、辞書(小学館・朝鮮語辞典)では【仏国불국 】や【法国법국】(後述の中国語由来)も載っていますが、ネットで調べる限りこういう表現は一般的ではないようです。単に【France프랑스】といい、ある意味日本人にはわかりやすいかもしれません。
中国語では当て字が【法蘭西】と異なり、そこから生まれた【法国Fǎguó】という言い方を用います。
ベトナム語では中国語を借用して【法Pháp】と言います。いかにもLoan wordという感じですね。ベトナムはフランス領時代がありましたが、フランスの名称をフランス語でなく中国語からの借用語で呼ぶのは不思議な感じがします。
2021/09/07追記
「中国語における東西言語文化交流―近代翻訳語の創造と伝播」という書籍によると、フランスの漢語訳は、当初、香港において粤語(広東語)の音をもとにした「仏」が主流であったが、その後、上海において呉語(上海語)の音をもとにした「法」が主流になったようです。
(再掲) 【イギリス】を何というか
(本記事は2018/10/4の投稿の再掲載です)
仕事のトラブル・板挟み・無理難題、自分自身の能力不足が重なり、辟易としています。今度また台風来るのですが色々大丈夫なのでしょうか。
国名シリーズ第6弾、イギリス。
日本語
イギリス(English)
えいこく【英国】
中国語(普通話)
Yīngguó(英国)
韓国語
영국(英國)
Nước Anh(くに・英)
Anh quốc(英国)
【英】という漢字の読み方が各国語で違っていて、とまどいそうになります。
中韓では語末が-ngですが、日本語ではなぜか-iです。ただ、日本語の【えい】は漢音で、呉音では【よう(やう)】となります。-ngの音が-uに変わるのは日本漢字音ではよくあることで、呉音ではその法則通りですね。
ベトナム語ではAnhとなっていて不思議ですが、ベトナム漢字音(漢越)については勉強し始めたばかりなので恥ずかしながらよく分かりません。
なおベトナム語でイギリスの正式名称はVương quốc Liên hiệp Anh và Bắc Irelandというそうですが、これをじっと見ていると、ベトナム漢字音(漢越)がたくさん使われていることに気づきます。【王国・連合・英・と・北・アイルランド】ですね。一見何もわからないベトナム語ですが、漢字音の存在に気づけば一気に親近感がわくのは私だけでしょうか。英連合王国ではなく、王国連合英と、後ろから修飾していくところに、ベトナム語らしさが現れています。
2021/09/07追記
「中国語における東西言語文化交流―近代翻訳語の創造と伝播」という書籍によると、アメリカの漢語訳は、当初、香港において粤語(広東語)の音をもとにした「英」が主流であったが、その後、上海において呉語(上海語)の音でも「英」のまま普及したようです(粤語と呉語で「英」の読みが似通っていたためとのこと)。