アジアのお箸

中国語・韓国語・ベトナム語・広東語が似ているので同時学習してみるブログ(東アジア漢字文化圏の言語の比較・対照)

【世上】ということば

今回からは、先日読んだ時代小説「用心棒日月抄」(藤沢周平 著)に出てきた気になる言葉を取り上げてみる。
江戸時代を舞台にした小説だからか、少し見慣れない言葉が盛り込まれている。

第一回は【世上】。

「用心棒日月抄」の文を引用する。

  むろん浅野の旧家臣全部が、世上にささやかれるように吉良を狙って狂奔しているわけではあるまい。

【世上】という言葉が出てきた。日本語の日常会話では使わないが、日本語に存在する言葉。

実は韓国語を勉強していた当時、세상【世上】という言葉がよく出てきた。「世の中」という意味だ。
そのときは韓国語的な独特な言葉だなあなどと思っていたが、日本語の小説の中にもふと登場してきて、なんだか不思議な気分になった。

調べてみると実は中国語にもある言葉のようだ。

下にまとめてご紹介する。


日本語
せじょう【世上】
 むろん浅野の旧家臣全部が、世上にささやかれるように吉良を狙って狂奔しているわけではあるまい。

中国語(普通話
shìshàng【世上】
 世上无难事,只怕有心人。
 shìshàng wú nán shì zhĭpà yŏuxīnrén
 (世の中に難しいことはなく、ただ心のある人を恐れるだけだ。
  →世の中に難しいことはない。ただ心がけ次第だ。)

韓国語
세상【世上】
 세상에서 마음만 먹으면 못할 일이 없다.
 (決心さえすれば世の中にできないことはない。)

ベトナム語
該当なし


今回は中国のことわざと、それの韓国語訳を例文として取り上げた。