アジアのお箸

中国語・韓国語・ベトナム語・広東語が似ているので同時学習してみるブログ(東アジア漢字文化圏の言語の比較・対照)

【アメリカ】を何というか

3連休最終日も残りわずかとなり、たいして有意義な活動もできず、家族への奉仕もあまりできず、ただ単に布団の上にて、生きるしかばねのごとく寝て過ごし、明日からまた嫌な仕事だと思うと、めっきり気分も塞ぎ込んでしまう私です。こんばんは。

 

国名シリーズ第5弾はアメリカ。

 

日本語

アメリカ(America)

べいこく(米国)

 

中国語(普通話

Měiguó(美国)

Huāqí(guó)(花旗(国))

 

韓国語

미국(美國(/米國))

 

ベトナム語

(Nước) Hoa Kỳ((くに)・花旗)

Nước Mỹ(くに・美)

 

日本語では英語のAmericaを借用してアメリカと言うことが多いですね。書き言葉では【米国べいこく】と表現することもあります。アメリカの当て字は、「亜米利加」や「米利堅」だったので、そこから【米】の字を取ってきたのです。

 

中国語では【米国】ではなく【美国Měiguó】と言います。略し方が違っており、「美利堅」という当て字から【美】の字が取られました。

なお中国語の昔の言い方や、今も一部の方言では、【花旗(国)Huāqí(guó)】という表現もあった(ある)ようです。【花旗Huāqí】とはアメリカの国旗(星条旗)を表す昔の表現でした。

 

韓国語では現代の中国語方式に倣って【美國미국】としています。なお小学館朝鮮語辞典によると、北朝鮮での漢字表記は日本語方式の【米國미국】(朝鮮漢字音での発音は【美】も【米】も同じ)らしいですが、北朝鮮では漢字は完全に廃止されているので、この情報は実際的にはあまり意味をなさないのでは?と思うのですがいかがでしょうか。

 

最後にベトナム語ではおもしろいことに、中国語の古い表現【花旗Hoa Kỳ】が現役で使われています(もちろん読み方は異なり、ベトナム語漢字音になっています)。しかも同時に現代中国語の【美Mỹ】も使われています。

頭にベトナム語固有語で「くに」を意味するnướcを付けることもあります(【美Mỹ】には必ずnướcを付ける)。ややこしいですね。

 

日中韓越でこれだけ違いがあると、色々と興味深いのは確かですが、同時学習者としてはなかなか煩わしく思えるような気もします。いっそのこと、リングワフランカとして英語のAmericaに一本化してしまうのが手っ取り早いですが、そこは漢字文化圏の一員として、【米国】【美国】【花旗】という表現を覚えて使っていった方が、味わいと深みがあっておもしろいというのが、私の個人的な感情です。

 

2021/09/07追記

「中国語における東西言語文化交流―近代翻訳語の創造と伝播」という書籍によると、アメリカの漢語訳は、当初、香港において粤語(広東語)の音をもとにした「米」が主流であったが、その後、上海において呉語(上海語)の音をもとにした「美」が主流になったようです。